生理痛・腰痛
女性のための漢方薬
普段は腰痛がないのに、生理の前や生理中だけ腰が重い・痛い、ということはありませんか?
生理時の腰痛は女性特有のもので、子宮と骨盤、女性ホルモンが大きく関係しています。
生理時の腰痛の原因は、大きく分けると2つあります。
①月経前緊張症(PMS)
生理前3~10日の間に症状が現れ、生理が始まると症状がおさまる。
症状の軽重がありますが、排卵のある女性ならばほとんどが経験するといわれています。
月経前緊張症(PMS)で腰痛が起こる原因としてはホルモンの影響が考えられます。
■卵巣ホルモンの1種、リラキシンという物質が分泌されます。この物質が関節を緩める働きをするため、筋肉や腰へストレスがかかります。
■黄体ホルモンにより、子宮からプロンスタグランジンという子宮を収縮させる物質を分泌させます。この分泌量が多いと、腰痛を感じることがあります。
②月経困難症
生理中に症状がでる。いわゆる生理痛のこと。
月経困難症は若年女性にはかなりの頻度でみられ、年齢とともに減っていくのが特徴です。
月経困難症で腰痛が起こる原因としては、まず第一に血行不良が考えられます。
生理中は子宮に血液を送る働きをすることから全身が血行不良になりがちです。骨盤内に血液が充血し、子宮の重量も増加して腰が重くなります。
第二の原因として骨盤のゆがみがあります。生理中は骨盤が広がります。骨盤が歪んでいるとうまく広がることができず、腰に負担がかかります。
最後にホルモンの影響が考えられます。PMS時と同様です。黄体ホルモンによるプロンスタグランジンの分泌量が多い場合、腰に負担がかかります。
月経痛の原因の主なものは、先程からお話ししているプロスタグランジンです。したがって、月経痛の痛み止めはこのプロスタグランジンの産生を押さえるようなものが適しています。具体的な薬剤の名前としては、イブプロフェン、メフェナム酸、インドメタシンなどがあります。
プロスタグランジンは月経の少し前から作られ始めます。痛み止めは月経が始まったらあまり痛みが強くならないうちに飲んでください。毎月必ず痛むような方は、月経が始まったらすぐに、あるいは、月経開始の1~2日前から飲み始めるのもよい方法です。また、痛み止めは、ずっと我慢してから飲むより、早め早めに飲む方が結局は少ない量で上手に痛みのコントールができます。
ただし、これらの薬はすべて対症療法ですので、痛みを起こしている根本治療には成り得ません。
東洋医学では基本的に、月経時は血虚(気血が足りなくなる状態)又はオ血(血液が鬱血して滞ること)になると考えます。
血虚やオ血になる原因は様々ですが、特に月経に絡んだ血虚やオ血になると冷えやすくなり、その際、子宮が冷えるとされます。
お腹と腰は帯状に一部位だという考え方をする場合があります。子宮(お腹)が冷えれば腰も冷え、冷えた部位には陽気(活動的な気)が少なくなります。陽気はからだの表面を保護する役割も担っていますから、陽気が少ない部位には痛みが出やすくなるわけです。
月経痛(腹痛や腰痛など)の重さは身体の陽気の量が関係しており、陽気が少なくて身体が冷えやすい方ほど重い傾向にあります(逆に陽気が多すぎると子宮内膜症で月経が重くなる場合もありますが…)。
漢方薬としては、基本的には体を温めながら、気血を補ったり、血液の鬱血を取って血流を良くする漢方薬を用います。漢方薬としては、血虚に対して婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、オ血に対してはキュウ帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が有効です。
東洋医学では、生理中の生理痛や腰痛はほとんど無いのが正常とされています。これらの漢方薬を毎日服用することで、根本治療になって、痛みのない正常な生理を迎えることができるようになります。
なかなか良くならない生理痛やPMSも、体質と病状に合わせた漢方薬で多くの方が改善されています。また生理痛・PMSに効く温灸法も指導させていただきます。生理痛・PMSでお悩みの方、しっかりとした体質チェックと選薬の出来る当店にご相談ください。