帯下(おりもの こしけ)
女性のための漢方薬
帯下(おりもの こしけ)
帯下とは、膣内から流出する粘液で、「おりもの」「こしけ」と呼ばれ、正常では無色透明でにおいがなく少量です。
おりものは女性特有のもので、それ自体は病気によるものではありません。膣に雑菌が入るのを防ぎ、清潔に保つための分泌液で、中医学の古典にも「帯下(おりもの)は女子が生まれたときからあるもので、常に潤いがあり、病ではない」と記載されています。
正常なおりものは無色透明で臭いも少なく、畳も少量です。一般的に、生理前や排卵期、妊娠期にはやや多くなり、閉経後には減少します。おりものがこのような状態であれば、特に心配する必要はありません。
しかし、量が増える、匂いが強くなる、色を帯びている、といった状態や、陰部のかゆみがある、腰痛、腹痛などの症状を伴う場合は、改善を心がけることが大切です。不快なおりものは、身体のさまざまな不調によって発生する「湿邪」が原因です。おりものの状態は、その不調を知る目安となるのでよく観察するようにしましょう。
がまんできないほどでもなく、人にもなかなか相談しにくい。そんな理由から、日本では検査をせずに済ませる人が多いのが現状です。しかし、異常なおりものは、感染症、卵管炎、子宮筋腫などといった女性特有の病気を知らせるサインとなっていることもあります。気になる症状があれば、軽視せずに対処してください。
中医学では大きく3つのタイプに分けて治療します。
①脾虚タイプ(消化機能の低下が原因)
胃腸機能が低下すると体内に余分な水分や汚れが停滞し、「湿邪(しつじゃ)」が生まれます。「脾虚タイプ」のおりものは、このように発生した体内の湿邪が、身体の下部に集まっている状態です。無色~白っぽいおりものの量が多く、疲労感、食欲不振、下痢、むくみなどの症状が現れます。余分な湿を取り除くと同時に、弱った脾胃を健やかに保つよう心がけましょう。
対応漢方薬:参苓白朮散 食養生:インゲン豆 豆乳 ハトムギ 銀杏 蓮の実
②腎陽虚タイプ(加齢、冷えによる子宮・卵巣機能の低下が原因)
おりものの質や量は①の脾虚タイプに似ています。
腎は生命活動の源ともいえる臓であることから、加齢とともに、その機能が自然と衰えていきます。腎の機能が弱くなると、身体に必要な水分を体内で留めておく力が不足し、おりものの量が増えてしまいます。このタイプは更年期に見られることが多く、冷え性、腰痛、めまい、耳鳴り、物忘れ、夜間の頻尿といった症状を伴うことが特徴です。
対応漢方薬:八味丸 参馬補腎丸 当帰芍薬散(特に冷えのタイプに)
食養生:ヤマイモ 豆類 きのこ類 くるみ
③ 湿熱タイプ(細菌感染、筋腫、内膜症などによる子宮内の炎症が原因)
おりものは粘りがあり、淡黄色~淡緑色で臭いも強くなります、陰部の痒み・痛み、強い口臭・胃痛・尿が濃い・下の苔が厚くでやや黄色い・脈がやや速いなどの症状がみられます。
対応漢方薬:龍胆瀉肝湯 五淋散 五行草 食養生:緑豆 ゴボウ、大根などの根菜類 冬瓜 あさり、しじみ、こんにゃく
いずれの場合も漢方的な体質判定と選薬が必要です。
おりものでお悩みの方、しっかりとした体質チェックと選薬の出来る当店にご相談ください。