後鼻漏(こうびろう)の漢方治療
からだ相談室
鼻水というと前に垂れるものをイメージする人が多いと思いますが、後ろ(喉)に流れ落ちる後鼻漏もあります。
後鼻漏については、まだまだ認知度が低いため、のどの違和感や痛み、咳、口臭、不眠の症状を訴えて来店されるケースが少なくありません。後鼻漏による症状は、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎、急性鼻炎に伴い悪化することが多く、季節的にも秋から春にかけて相談が増えることが報告されています。今回は、後鼻漏の漢方治療をご説明させていただきます。
①まずは鼻水の状態(粘度、色)を確認し、のどに落ちる鼻水対策を考える。
●鼻水がサラサラ、透明、水様であれば「寒痰」としてとらえて、肺を温める代表的な処方である小青竜湯が用いられます。冷えや倦怠感が顕著な場合は、腎陽を鼓舞する炮附子を含む麻黄附子細辛湯が最適です。また、麻黄を服用すると動悸、胃腸障害が出現する場合には苓甘姜味辛夏仁湯も考慮されます。
●鼻水がネバネバ、黄~緑色であれば、「熱痰」としてとらえて、肺の熱を鎮める代表的な処方である辛夷清肺湯が用いられます。麻黄の配合されたものも使用することができ、首のこりや悪寒、微熱感を伴う場合には葛根湯加川弓辛夷も考慮されます。鼻詰まりの改善効果を高めたい場合には、両方を組み合わせることもあります。
②流れ落ちた鼻水や口呼吸に伴う喉の症状緩和を痰の状態から考える。
●痰が黄~緑色を帯び、粘っこく切れにくい場合(熱痰)には、清熱化痰(炎症を抑えて去痰する)に優れた桔梗石膏が用いられます。桔梗石膏は甘草を含まない2種類の生薬で構成され、他の処方にも組み合わせやすいのが特徴です。喉の腫れや痛みが顕著な場合には、金銀花や連翹を含む金羚感冒散、荊防排毒散も考慮されます。水様性の鼻水にのどの症状が併発している場合には、小青竜湯合麻杏甘石湯であれば、①②の対策が同時に行うことができます。
●痰が白~淡黄色を帯び、粘っこくて量が少ない場合(燥痰)には、乾いた咳の基本処方である麦門冬湯が用いられます。しかし臨床上は乾燥と炎症のどちらも生じていることが多く、判断に迷う場合があります。その際に最適な処方は、竹葉、石膏による清熱(消炎)効果も期待できる竹葉石膏湯があります。
③生痰の源である脾の運化機能を強化する。
●上記の①②の対策でもう一歩という場合には、脾(胃腸機能)の強化を目的に燥湿化痰(水分調節をして痰を除く)の代表処方である二陳湯やその加減方(香砂六君子湯など)を用いる必要があります。また、本症状を引き起こしやすい痰湿タイプは、暴飲暴食、油っぽいものや甘いものの摂りすぎ、運動不足傾向にあるため、上記の漢方薬に合わせて、食事、運動などの養生を組み合わせていくことも大事になります。


