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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

女性のための漢方薬

バセドウ病とは?

ドイツの医師 von Basedowに由来する病名ですが、アメリカではグレーブス病(Graves’ disease)と呼ばれます。
眼が出てくる病気としてご存じの方もいらっしゃると思います。
甲状腺がはれ、甲状腺ホルモンが異常に増えてしまう病気ですが、その原因が自己免疫であると判明したのはそれほど昔のことではありません。

自己免疫によって起こる病気を自己免疫性疾患と呼びます。
自己免疫疾患とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、簡単にいうと「自分で自分を病気にしてしまう病気」とでも申しましょうか。
感染症、例えば肺炎や肝炎は外界から侵入した細菌やウイルスによって起こる病気です。
一方、自己免疫疾患では、病気を起こしているのが本来自分の体を守っている白血球なのです。
体を保護する役割を担っている免疫系が、反乱して自分自身を攻撃してしまう病気なのです。
その代表的な疾患が、慢性関節リウマチなどの膠原病といわれる疾患群ですが、その他にも自分の肝臓を壊してしまう自己免疫性肝炎、自分の赤血球を壊してしまう自己免疫性溶血性貧血など多くの自己免疫疾患があります。
自己免疫性甲状腺疾患としては、バセドウ病と橋本病(慢性甲状腺炎)が代表です。
両疾患共に遺伝的背景が濃く、家族内に両疾患を持つ方が多いのが特徴です。
但し、橋本病は潜在性のことが多いので分からない場合が多いと思われます。

バセドウ病の主な症状

・首元が腫れている(腫れているように感じる)
・疲れやすくなった(「しんどい」といった疲労感)
・イライラして、落ち着かないことが多い
・暑い時期がつらくなった(多量の汗・寝汗をかく)
・動悸がしたり、手足に震えが出る
・寝付けない、夜中に何度も目が覚める
・食事量は変わらないのに体重が減る
・目が突き出てきたように感じる
・下痢気味になった
・月経不順、無月経

検査と治療

バセドウ病の検査は、血液検査(甲状腺ホルモンの量や特殊な抗体の存在を調べる)と超音波検査(甲状腺の形や大きさなどを調べる)のふたつが中心になります。
検査結果がでるまでに1週間〜10日程度かかる場合もありますが、検査自体は1日で済むことが多く、苦痛もありません。

治療としては薬物療法が中心になります。
定期的に行なわれる血液検査をもとに、甲状腺ホルモンを抑える薬を服用し、血液中の甲状腺ホルモンの量をコントロールしていきます。
こうした治療の過程で甲状腺の腫れはおさまり、耐えられないような自覚症状も緩和していきます。
ただし、薬物療法による治療は長期にわたることがあります。
途中で治療をあきらめたり、自己判断で薬の服用を止めたりしないように、根気よく治療を受けなければなりません。

薬物療法だけでは症状が改善されない方、あるいは薬物療法以外の治療を望まれる方には、放射線療法(アイソトープ治療)や手術療法が医師から推薦されます。
このふたつの治療効果には、たいへん目ざましいものがありますが、治療を受ける方の年齢や身体的条件、ライフスタイルに対する考え方などで、その治療法が「適する・適さない」といった面があります。
医師からの説明をよく理解した上で、治療を受けましょう。

漢方治療

中医学では、甲状腺機能亢進症は多く甲状腺腫を伴うところから、えい病(えいびょう)
の範疇に入れられており、結節性甲状腺腫にあたるものを?瘤、単純性甲状腺腫に当たるものを?気と呼んでいます。癭(エイ)とは”こぶ、首すじのこぶ”の意味で、西洋医学でいうところの甲状腺腫になります。
漢方薬としては、以下の3タイプに分けて治療します。

1、 心下上炎型
心の陽気の過亢進状態で、精神的な原因・刺激物の摂取過多などによることが多いです。はげしい熱証(実熱)が特徴です。中枢神経系の亢奮・自律神経系の過亢奮・異化作用亢進・副腎髄質機能の亢進などによって生じるものと考えられます。
代表的処方:黄連解毒湯・・・心下を瀉し、三焦の湿熱をとります。血の熱をとり、イライラやのぼせ、充血などの症状に使います。

2、陰虚陽亢型
甲状腺機能亢進が慢性に継続している例に多いです。持続する代謝亢進と熱証のために、気血と共に陰液(水)も損傷されて消耗し、全体に虚熱(消耗性の熱)と乾燥が顕著となります。症状は上記の症状に加えて、のどの渇き、めまい、手の震え、空咳、足腰の弱り、筋肉の脱力、耳鳴り、寝汗、便秘などが顕著になります。
代表的処方:滋陰降火湯、知柏地黄丸(合温清飲)

3、気陰両虚型
新陳代謝の亢進が更に長期にわたるために、陰陽共に虚した状態です。代謝亢進や熱証はあまり顕著ではなく、逆に体力消耗による症状のほうが強く現れます。症状は、痩せ
衰えて、皮膚枯燥し、甲状腺と眼球突出のみが目立つ例が多いです。やせて力なく息切れ、手や足が震え、多汗、のどの渇き、口が苦く感じる、不安、不眠がある場合が多いです。不整脈もよく現れます。
代表的処方:炙甘草湯、麦味参顆粒:動悸や不整脈を生じた時の処方で、症状を緩和します。
加味逍遥散:体力が消耗して、のぼせ、充血と共に抑鬱、イライラ、不眠、倦怠感、月経異常などで、特に精神症状が顕著な場合に有効です。

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