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甲状腺機能低下症(橋本病)

甲状腺機能低下症(橋本病)

女性のための漢方薬

今回は、前回ご紹介した甲状腺機能亢進症(バセドウ病)に続いて、甲状腺機能低下症(橋本病)について説明します。

橋本病は別名慢性甲状腺炎とも呼ばれ、バセドウ病と同様に自己免疫疾患(体を保護する役割を担っている免疫系が、反乱して自分自身を攻撃してしまう病気)の一種で、女性には男性の20~30倍の頻度で多く、甲状腺の精密検査を受ける女性の2人に1人はこの病気です。

橋本病自体の症状は、甲状腺を触ると腫れている程度で他にはほとんど感じられません。
ホルモンが不足すると新陳代謝が低下します。
すると、疲労感、身体の重だるさ、筋力の低下、強い眠気、気力の低下、汗の減少、冷え性、 脈拍数の減少、むくみ、体重の増加、皮膚の乾燥、 声のかれ、記憶力の低下、脱毛、便秘、低血圧、月経異常などの症状がでてきます。
しかし、ホルモンが徐々に不足した人は体が慣れてしまい、何も感じないことがたくさんあります。
ひどくなると心臓の働きが落ちて苦しくなったり、物を考えるのが遅くなり痴呆と間違われたり、さらには全身がむくんでしまう粘液水腫という状態になったりします。

逆に甲状腺が壊れて一時的にホルモンが漏れ出て過剰となることもあり、この場合は「イライラする」、「動悸がする」、「下痢」、「やせる」等の症状がでます。症状はバセドウ病とそっくりですが治療は全く異なりますので専門医による診断(特に採血によるホルモン値及び抗体検査)が必要です。

ホルモンのバランスに乱れがなければ治療は不要です。
ホルモンが不足した場合はホルモンを不足する分だけ飲み薬として補います。
薬は甲状腺の働きがもどれば中止できますが、一生服用しなければならない人もたくさんいます。
橋本病の人に生じるホルモン過剰の多くの場合、自然に治りますのでホルモンを下げる薬は使いません。

▲生活上の注意
ホルモンのバランスの乱れは自覚症状のみでは見逃される可能性が高いため、ホルモンが正常でも半年から一年に一回、ホルモンの検査(血液検査)を受けて下さい。出産後などは特にホルモンが乱れやすいので、妊娠したことが分かったら一度専門医に相談して下さい(きちんと管理された橋本病は妊娠出産になんら悪い影響はありません)。また、急に甲状腺が大きく腫れたり、痛みが出たりした場合や、症状のところで述べたような全身の症状が気になる場合も、ホルモン検査にいらっしゃって下さい。生活上の注意は有りません。強いてあげればヨードを多く含む食材、昆布、わかめ、のり(佃煮などの加工品含む)、ひじき、寒天、ヨード卵などをとりすぎないようにすることくらいです(無理して制限する必要はありません)。ヨードは甲状腺ホルモンの合成を低下させる働きがありますので取りすぎると機能低下になりやすいのです。(ヨード不足を心配する方がいますが、日本人の食生活でヨードが不足することは無いと言ってしまって良いでしょう。)

▲漢方薬
橋本病に用いられるタイプ別漢方薬

①脾虚型:疲れやすい、食欲不振、下痢・軟便が続くなど
漢方薬:補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
②陽虚型:脾虚型の症状に加えて冷えの症状が強い
漢方薬:人参湯(にんじんとう)、附子人参湯(ぶしにんじんとう)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
③腎陽虚型:①+②の症状に、腰痛、排尿障害、、脱毛、記憶力の低下などの老化の症状がみられる場合
漢方薬:鹿茸大補湯(ろくじょうたいほとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)
④気血両虚型:①+②の症状に、貧血の症状が加わった場合
漢方薬:十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、帰脾湯(きひとう)

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