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最近よく耳にする「フレイル」って何?

最近よく耳にする「フレイル」って何?

その他の病気と漢方薬

近年、フレイルという言葉がかなり浸透してきたように感じます。
フレイルとは.日本老年医学会の定義によれば「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態.死亡などの転帰に陥りやすい状態」とされています.そして、このフレイルには筋力低下や低栄養、食欲不振、易感染など身体的なものの他、認知機能障害やうつ、食欲低下などの精神・心理的なもの、独居や経済的困窮などの社会的なものも含まれます。
身体的フレイルや精神・心理的なフレイルを漢方医学の観点から見ると、腎虚(生命活動の根本となる生命エネルギーの低下。いわゆる老化現象の多くはこの腎虚の範疇に入ります)をはじめ、脾虚(脾気虚:食欲や消化吸収力の低下)、血虚(血液の質の低下)、気滞(ストレスにより気の流れが停滞すること)などの病態が聞連していると考えられ、それらを改善することでフレイル対策につなげるごとが可能です。
以下に身体的および精神・心理的なフレイルに活用できる主な漢方処方をご紹介いたします。

独活寄生丸(どくかつきせいがん)
腎虚による運動器の衰えを改善するのに優れており、身体的フレイルの第一選択と言ってよい処方です。去風薬が多く配合され、痛みを抑えるのに優れているので、腰痛や関節痛などによってフレイルの進行が早まっている場合にも有効です。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
腎虚による運動器の衰えに有効で、身体的フレイルに適した処方です。止痛作用は独活寄生丸の方が優れているものの、牛車腎気丸は基礎研究で老化促進マウスの筋肉量の低下を抑制する効果が報告されており、筋力低下の改善も期待できます。
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
身体的フレイルでは、食欲が低下⇒低栄養となる⇒筋肉量か低下して身体機能も落ちる⇒活動量が減るのでエネルギー消費量も減る⇒さらに食欲が低下という悪循環が生じやすくなります。香砂六君子湯は補気健脾作用によって食欲低下を改善し、この悪循環を断ち切ることが可能です。また。香附子(こうぶし)・縮砂(しゅくしゃ)などによる理気作用が気滞による抑うつを改善するため、精神・心理的フレイルにもある程度対応できます。
帰脾湯(きひとう)
心脾両虚(心血虚+脾気虚)を改善する処方です。心血虚(精神面を力づける働きの低下)や脾気虚(胃腸機能の低下)、またそれに伴う全身の気虚(エネルギー不足)では、抑うつや意欲低下が生じやすくなります。帰脾湯はこれらの症状を改善するのに優れているので、精神・心理的フレイルの第一選択と言えます。
また全身の気を補うので、易感染を含む身体的フレイルにも一定の効果が期待できます(免疫増強作用)。

このように漢方は様々なタイプのフレイルを改善できる可能性を持っています。高齢者の皆様の心身の健康のために、是非漢方をご活用ください。

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