早発閉経
女性のための漢方薬
早発閉経
早発閉経は、まだ閉経年齢にならない20歳代、30歳代で、卵巣年齢が閉経年齢に達してしまっている状態をいいます。
月経が始まった頃から月経周期が不順で、高校を卒業する頃には1年に2回~3回ぐらいしか月経が来なくなり、20歳代前半位からは完全に月経がなくなってしまうという経過が、典型的な早発閉経の女性の辿る道です。なかには原発性無月経といって、月経が一回も来ないという方もいます。こういった女性も早発閉経の範疇に入ってきます。
最近では、20歳代から30歳代に卵巣嚢腫(特にチョコレート嚢腫)の手術を行なっているという女性も増えてきています。30歳代の後半から月経が不順となり、止まってしまうという経過を辿って、早発閉経と診断される方などです。
診断は、月経の経過確認とホルモン検査で行ないます。早発閉経の方は卵巣が機能していないため、卵巣を刺激する下垂体からのホルモンであるFSH、LHが極めて多量に放出されています(50歳くらいで通常の閉経を迎えた女性も同様です)。この値を測定することにより、診断がつきます。
治療方法はまず、下垂体ホルモンを正常レベルまで下げるために、カウフマン療法といわれる治療(通常の月経周期がおきるように、エストロジェンとプロゲステロンを投与する方法)を行ないます。その後に、排卵誘発剤のHMG製剤を大量に投与するような強力な治療が必要になります。
中医学では生殖能力やホルモンバランスをつかさどる仕組みのことを「腎」といいますが、女性の腎の力は7の倍数で変化すると考えられています。
7才で男女の差がはっきりしてきて、14才で初潮、21才で性成熟期に入り、28才頃には生殖能力はピークに、35才で低下が始まり、42才以降になるとかなり妊娠力は低下して染色体異常や流産の確率も上がってきます。そして49才で閉経。この腎の力が理論よりかなり早く低下している状態が早発閉経と考えます。ですから漢方薬で治療する場合はこの腎の力を補う「補腎薬」を使って、子宮・卵巣のパワーアップを図ります。補腎薬としては、鹿茸大補湯(ろくじょうたいほとう)、参茸補血丸(さんじょうほけつがん)、二至丹(にしたん)などが有名です。
また、腎を補う食養生としては、なつめ、プルーン、ひじき、黒豆、黒ごま、烏骨鶏、牡蠣、なまこ、山芋などを積極的にとりましょう。
補腎薬とともに子宮の血の流れをよくし、子宮をあたため、たまっている汚れた古い血(瘀血)をとり除くこと(温陽活血)も重要です。そして植物を根づかせ育てる大地のように、子宮がみずみずしくうるおっていることも大切です。代表的な漢方薬としては婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)、温経湯(うんけいとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などがあります。
この二つの作用の漢方薬を併用して治療することを補腎活血法(ほじんかっけつほう)といって、早発閉経の漢方治療の大原則となります。
いずれの場合も漢方的な体質判定と選薬が必要です。
早発閉経でお悩みの方、しっかりとした体質チェックと選薬の出来る当店にご相談ください。