夏の猛暑と脱水症
季節の病気と漢方薬
今年の夏は梅雨入りも早く、毎日30゜以上の日が続いています。
例年になく長く暑い夏になりそうです。
暑い日が続くと発汗が異常に起こり、脱水症状や熱中症になりやすくなります。
もともと水分の不足しがちな高齢者ではなおさらです。
最近では外出して外を眺めると、干ばつで枯れた農作物や田畑の亀裂を見ることも多くなりました。
そんな時は、つい重度の脱水症状に陥った方の弾力のない皮膚や落ちくぼんだ目、亀裂の入った唇や舌を思い出します。
自然界の渇水状態と、人間の脱水状態はよく似ています。
血液を構成する血漿の約90%は水分です。
血漿を川に例えると、赤血球、白血球、血小板などの血球は、水に浮かぶ舟のようなものです。
川に水が少なければ、舟は浅瀬に乗り上げて動けなくなるように、水分が不足すると血漿も減少し、血液は濃縮されて粘度が高くなります。
そして血栓が出来やすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患を引き起こしやすくなります。
中医学では、血漿や組織液など、栄養のある体液を津液(しんえき)と呼んでいます。
津液を補うため、西洋医学には点滴などの手段がありますが、漢方薬では津液を生じる生薬を用います。
例えば、津液を増やすと同時に、心筋に栄養を与え、心筋の収縮力を強める働きのある麦味参顆粒があります。
血漿が増えると、増水により舟が動くようになるのと同じ原理で血の流れがよくなるため、心筋梗塞、脳梗塞を予防できます。
しかも、夏場の発汗過多、口渇、動悸、息切れ、倦怠感などの症状にも有効です。
もともとお血(血行不良)傾向がある老人や循環器疾患の持ち主には、血管を拡張し、血栓を予防する作用のある冠元顆粒のような処方と併用するとよいでしょう
夏の食養生としては、冷蔵庫で冷やしていないメロンやスイカなどのウリ科の果物は、体液の補充と共に、血液が固まるのを抑制する血栓予防効果も確認されています。