花粉症による目の痒み(アレルギー性結膜炎)
季節の病気と漢方薬
花粉症による目の痒み(アレルギー性結膜炎)
アレルギー性結膜炎の症状と原因
花粉症のようなアレルギー性疾患にかかると、くしゃみや鼻水などの症状のほか、目にもかゆみや充血などの症状が現れることがよくあります。もし、アレルギー性結膜炎と思われる症状が出てきたら、眼科専門の診断を受け、しっかりと治療する必要があります。
結膜は、上下のまぶたの裏側(瞼結膜)と、白目の表面をおおっている半透明の膜(球結膜)です。ここに炎症が起こって充血、かゆみ、涙や目やにが出てくるといった症状を起こすのが「結膜炎」です。結膜炎の原因としては、ウイルスや細菌による感染もありますが、外から入ってくる異物に対して、体が過剰に反応するアレルギーによって起こることがあり、これを「アレルギー性結膜炎」といいます。アレルギー性結膜炎にならないようにするには、アレルギーの原因物質(アレルゲン)に接触しないように日常生活を工夫する必要があります。
アレルギー性結膜炎には、ある季節に限定して「目のかゆみ」や「充血」などの症状が見られる季節性アレルギー性結膜炎(花粉症)と、季節に関係なく症状がみられる通年性アレルギー性結膜炎という2つのタイプがあります。
1. 季節性アレルギー性結膜炎
1年の特定の時期だけに、ある決まった植物の花粉が原因となって発症します。 日本では2月~5月に多く飛散するスギやヒノキの花粉が主な原因です。日本眼科学会によると、アレルギー性結膜炎の患者さんは推計約2,000万人いるとされ、その約85%は花粉が原因と言われています。
1日の中でも13時~15時頃は花粉が多く飛散しやすい時間帯だといわれています。しかし環境省の花粉観測システムの調査によると、通勤時間となる朝の時間帯の飛散率も比較的高いので、出勤時はめがねをし、出社後にコンタクトをするのも良いかもしれません。ただし地域や天候、日によって変わりますので、気象情報をマメに確認して外出する最適な時間帯をみつけましょう。
2. 通年性アレルギー性結膜炎
1年を通して、ほこりなどの中にあるハウスダストやダニが主な要因となって発症します。イヌやネコの抜け毛やフケ、カビもアレルギーの原因になる場合があります。
アレルギー性結膜炎における日常生活の注意点
1. 季節性アレルギー性結膜炎
花粉情報を有効に活用しましょう。花粉が多く飛散する日は、できるかぎり外出を控え、どうしても外出しなければならない時は、マスクや花粉防止用のメガネなどでしっかり防御して出かけましょう。マスクは肌との隙間を作らないように密着させて装着するのがコツです。メガネは花粉症対策用のフチが付いた、ゴーグルタイプが効果的です。衣類は、花粉がくっつきやすいウール地のものは避け、ナイロン地のコートなどは花粉が滑り落ちやすいため、オススメです。 帰宅時には家に入る前に、外で衣類の表面を手で払うようにしましょう。手洗い、うがいも大切です。室内では空気清浄機の使用や、洗濯物の室内干しを推奨します。また体の調子を整えるために、 規則正しい生活習慣とバランスのよい食事を心がけましょう 。
コンタクトレンズを使用していると花粉症の症状がひどくなる傾向がありますが、その原因はレンズの汚れにあります。目の潤いを保つ涙液(るいえき=なみだ)の中には、タンパク質や脂質などが含まれており、それらがコンタクトレンズに付着すると、やがてレンズ汚れとなります。タンパク質や脂質には吸着性があるため、空気中に浮遊している花粉や微生物を目に引き付けやすくしてしまうのです。
さらに、花粉症によるかゆみで目をこすってしまうことにより、目の粘膜が傷つき、細菌による感染症を起こしてしまう危険性が高くなります。充血やアレルギー性結膜炎をさらに悪化させてしまう恐れもあるため、花粉が飛ぶ季節には、いつも以上にコンタクトレンズを清潔に保つことが大切です。そのため、毎日新しいレンズに取り替えることで、レンズの汚れを軽減し清潔に使い続けられる、1日使い捨てコンタクトレンズが花粉の季節には最適と言えます。1日使い捨てレンズ以外を使用している場合は、毎日きっちりレンズの汚れを落とすことがポイントになりますので、改めて洗浄方法を見直してみましょう。
2. 通年性アレルギー性結膜炎
通年性アレルギー性結膜炎の場合は、アレルギーの原因(アレルゲン)を寄せ付けないようにするため、室内環境の整備も重要です。また、免疫機能が低下すると症状を増悪させる恐れがあるため、生活習慣を見直し、ストレスをためない生活をするなどして免疫機能を正常に維持するよう努めることが大切です。
アレルギー性結膜炎と漢方薬
アレルギー性結膜炎に良く効く漢方薬として一番のお勧めは「洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)」です。また視力低下やめまいを伴う場合は「睛明丹(せいめいたん)」がお勧めです。その他鼻づまりや蓄膿症を併発している場合は「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」も良いでしょう。いずれも体質や症状によって合う・合わないがあるので、当店の漢方薬の専門薬剤師にご相談ください。