漢方でしみ・肌荒れ対策
皮膚のトラブルと漢方薬
漢方でしみ・肌荒れ対策
5月、6月は気温も上昇し、汗ばむことも多くなる季節です。花や木々の緑も美しく、自然と外出の機会も増えます。その時に、注意していただきたいのが紫外線です。
紫外線量は5月頃から高くなり、年によっては夏本番と変わらない紫外線量となっている場合もあるそうです。夏の終わりに、皮膚のシミを見て後悔する前に、早めのスキンケアが重要です。
古くから皮膚は、「内臓の鏡」と言われ、肌のトラブルは体の内側の異常が表面に現れたものだと考えられています。外用によるスキンケアだけでなく、内側からの対策も重要と考えられます。今回は、漢方薬を用いた内服のスキンケア(しみや肌荒れの対策)をご紹介します。
●しみや肌荒れの原因は瘀血(おけつ)
漢方では、シミや肌荒れには、気血水における「血(けつ)」の巡りが悪くなって起こる「瘀血(おけつ)」が、大きく関わっていると考えられています。血には、体の隅々に栄養を届けて、不要なもの(老廃物)を回収する働きがあります。巡りが悪くなると、皮膚の栄養不足やターンオーバーの低下に伴うしみや肌荒れが生じやすくなります。
●瘀血を改善する主な漢方薬
しみや肌荒れの原因にもなる瘀血。それを改善する主な漢方薬を紹介します。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):瘀血を改善する代表処方で、ファーストチョイスとして使用していただけます。また、生理出血の際に、血の塊が混じる場合や青あざができやすい方によく用います。
甲字湯(こうじとう):桂枝茯苓丸に甘草と生姜を加えた処方です。桂枝茯苓丸タイプで、胃腸が弱く、下腹部の痛みや生理痛が強い場合にお勧めです。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え性で、むくみやすく、疲れやすい方を目標にします。貧血の傾向があって肌の乾燥の強い方にも用いられます。
加味逍遥散(かみしょうようさん):のぼせ、倦怠感、イライラなどの精神症状、便秘などの様々な症状(不定愁訴)を訴える方や、ストレスや生理前に悪化する肌荒れなどを目標に用いられます。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう):便秘、のぼせ、イライラ、ヒステリーなどの精神症状が顕著な場合に有用です。通便作用があるので、便秘症の方には最適です。
冠元顆粒:肩こり、頭痛、手足の冷え、顔・唇・歯茎の色が暗いなどの全身の血流が悪くなっている方に有用な処方です。主成分の丹参(たんじん)には、血流改善の作用の他、強力な活性酸素除去作用や抗紫外線効果が確認されています。
紫華栄(しかろん):血流改善効果のある紫根(しこん)、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)の他、皮膚の解毒力を高めるジュウヤク(どくだみ)、ヨクイニン(はとむぎ)などが配合されているので、皮膚の保護・回復効果+解毒作用のバランスが良く、ニキビやアトピー、湿疹などの慢性の皮膚疾患にも対応する処方になっています。